Vol.370 2022.12.27

音楽・美術の旅 メールニュース
 
Column

イタリアの音楽を再び日本へ その3

我々4人は、同じ出発便に滑り込んだもののそれぞれが多少離れたところに腰を下ろすことになる。究極のサウンドを生みだすことを生業とする彼ら、いわゆる互いが勝手知った者同士ながら、ひとりで居たい時もある。とくに長旅に際しては単独での行動を好むことが多い。アンサンブルでの舞台が多いからこそプライベートの時間を大切にする、意外とそんなものなのかもしれない。

そんな彼らがシートベルトを締めたあたりだっただろうか、移動時における第二の関門が訪れることになる。

機内前方にて一人の乗客と客室乗務員の声のやり取りがどんどんエスカレートしていく。聞くところによると、その女性客はルフトハンザ機材でのビジネス席を予約してあったのに、直前にキャンセルされて、代わりにあてがわれたものがこんなオンボロ、ビジネス席、エコノミー席の区分もないような機材に憤慨、補償はどのようにしてくれるか、というこのイタという航空会社への不満が炸裂しているらしい。その客は乗務員では埒が開かないとその場で警察に通報することになる。

ただでさえ出発への遅れが生じている機内では他の客たちも一個人の不平に苛立ちはじめていて、“出ていけ”コールがはじまっている。我々のようにフランクフルト空港を最終地とするわけでなく、乗り継ぎのために機乗している客も少なくはない。

警察が乗り込んでくるという事態は必ずしも早々と事が片付くということでなく、かえって事が混沌としていく。警官の乗り込むまでの時間、喚き立てる乗客を説得でもなく引きずり下ろすまでに掛かる手間、あわせてその客の積み込んだ荷物を探し出して取り出すことを考えればそれだけでかなりの時間を費やすことになる。

そのようなわけで落着でもないが、イタ機が滑走路を進みはじめたのは、定刻より2時間ほど遅れてのこと。機内全体がざわめき、そしてため息に染まった鈍重な空気に包まれていく。

わたし自身ため息ばかりを聞きながらそこに同調している余裕はなく、機が飛び立つ前に今後のこと、自分として何をすべきか、できるかを考えはじめる。事態はとかく深刻なのである。

十中八九、日本へ向かうANA便への乗り継ぎには間に合わない。いや、僅かではあるが可能性を残している。というのもこの機内、同便に乗り継がなければならない人々が他にもいることが揉めている機内で判明していたのである。合わせて12人ほど、あるいはもう少しいるのだろうか。となればフランクフルト空港でANA便が我々を待ってくれている可能性もなくはないと考えたわけである。

空港に着陸したのは日本行きANA便の出発僅か15分前である。ほぼ可能性のないことはわかっている。決して若くはない我々3人、駆け足とまではいかなくとも急ぎ足で移動をはじめる。もうひとつやっかいなことに到着と出発のターミナルが異なるということ。とてつもなく広いフランクフルトの空港内を巡回しているバスに乗らなければならない。我々に混ざり先導者のいない10数名が連なるように移動していく様は傍から見れば滑稽であったことだろう。

堂満尚樹(音楽ライター)
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    リスト:コンソレーション第3番
    リスト:タランテラ
    ドビュッシー:2つのアラベスク
    ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 (第2稿)

年末のご挨拶

今年も残すところ、あと5日となりました。
皆様には、本年もご愛顧を賜りましたことに深く御礼申し上げます。

新型コロナウィルス感染拡大の影響により2年以上海外との往来は停滞していたものの、ヨーロッパへの訪問に際しては今年の5月よりワクチン接種・PCR陰性証明とも不要、隔離無しで入国可能となり、また、9月にはワクチン接種3回済みを条件に帰国前72時間以内のPCR検査による陰性証明書の提示義務が撤廃されました。ロシア・ウクライナ情勢や、世界的な物価高騰、円安といった懸念も生じておりますが、海外向けの観光ツアーや修学旅行、視察旅行などもようやく再開しております。

この年末、音楽ツアーデスクでも、3年ぶりにウィーンフィルニューイヤーコンサート鑑賞の旅が再開いたします。さまざまな制約がある中での実施ということもあり、従来のようなツアー形態を取らず出発するかたちとなりますが、ようやく音楽の旅の再開の扉が開かれたことに、スタッフ一同ようやくここまでたどり着いた、という想いでございます。
2023年夏頃までは、こうした個人旅行を中心にサポートをさせていただき、従来のようなツアーについては2023年夏以降の実現を目指してまいりたいと考えております。今後ともより良いサービス向上を図り誠心誠意努力する所存ですので、より一層のご支援を賜りますよう、スタッフ一同心よりお願い申し上げます。

なお、12月29日から1月3日まで年末年始休業、新年は1月4日(水)午前10時より、平常通り営業させて頂きます。

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